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親の医療費・介護費はいくらかかる?シニア世帯の隠れたコストを試算

「親に介護が必要になったら、いくらかかるのだろう」。ご自身の生活費もあるなかで、先の見通しを知っておきたいご家族も多いのではないでしょうか。

備えというと「お金」ばかりに目が行きがちですが、通院に付き添う時間や仕事の調整といった「見えにくいコスト」も大きな負担となってきます。

私たち株式会社 白寿生科学研究所(はくじゅせいかがくけんきゅうしょ)が、費用の目安と試算の方法、公的制度や相談先をお伝えします。

ハクジュプラザの店内の様子

シニア世帯にかかるお金の全体像

親御さんの家計は、生活費・医療費・介護費に分け、公的制度で支えられる費用も含めて考えましょう。病気や介護にお金がかかるようになっても、普段の生活費は必要です。

生活費・医療費・介護費の3つに分けて考える

まず、現在の家計の支出を次の区分に分けます。これから加わる介護費は、これまでの支出と分けて見積もりましょう。

区分 どんなときに 特徴
生活費 これまでどおり日常生活を送るとき 年金などの収入でまかなう
医療費 病気やけがで受診するとき 公的医療保険の対象となる費用がある
介護費 介護が始まってから、月々長く続く 介護保険の対象となる費用と保険外の費用がある

食費や光熱費は生活費の欄に、受診費用は医療費の欄に書きます。介護が始まっていなければ、その欄は空けておき、相談後に見積もりを書き足しましょう。

公的制度でカバーされる部分を先に知る

費用の全額を自分で負担するとは限りません。公的医療保険は診療などの費用を支え、医療費の自己負担が大きくなったときには高額療養費制度があります。

介護保険は、要介護・要支援の認定に応じたサービスの利用を支えます。対象サービスの月々の自己負担が上限を超えたときは、超えた分が支給される高額介護サービス費もあります。

利用できる条件は、市区町村の介護保険担当窓口で相談できます。

医療費——自己負担の目安

医療費の自己負担は、年齢・所得に応じた割合と、高額療養費制度による上限を踏まえて見積もります。診療にかかった費用全体と、窓口で支払う額は別です。

年齢別の自己負担割合

厚生労働省「我が国の医療保険について」では、医療保険における自己負担割合が年齢と所得によって定められています。基本の区分は、次のとおりです(2026年9月時点)。

年齢 自己負担の割合
70歳未満 3割
70〜74歳 2割(現役並み所得の方は3割)
75歳以上 1割(一定以上の所得の方は2割、現役並み所得の方は3割)

同じ年齢でも所得区分によって負担割合は変わるため、見積もりには親御さんに当てはまる割合を使います。

高額療養費制度——2026年8月からの見直しに注意

高額療養費制度は、対象医療費の自己負担がひと月の上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。上限は年齢や所得で異なり、医療機関や薬局で支払う対象費用を、月の初めから終わりまででまとめます。

厚生労働省の案内では、2026年8月から月額上限の見直しと年間上限の新設が実施され、2027年8月には所得区分の細分化などが予定されています。親御さんの上限額や手続きは、受診した月と支払額を、親御さんが加入している健康保険組合や市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療の窓口(保険者)に伝えて相談しましょう。

介護費——在宅と施設の目安と期間

介護費は、月々続く費用に一時的な費用を加え、介護が続く期間も含めて考えます。生命保険文化センターの2024年度調査をもとに、在宅・施設の費用と期間の目安を見てみましょう。

月々の費用の目安——平均9.0万円

公益財団法人生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」では、公的介護保険サービスの自己負担を含む月々の介護費用は平均9.0万円でした。在宅では平均5.3万円、施設では平均13.8万円です。

年金などの月々の収入から生活費と医療費を引くと、介護費に回せる額の目安が分かります。希望する介護の費用がそれを上回る場合は、貯蓄などで補うことになります。

ただし、平均額での見積もりは仮の予算です。相談後に分かった実際の費用に置き換えましょう。

一時的にかかる費用——平均47.2万円

同センターの2024年度調査では、住宅改修や介護用ベッドの購入など、一時的な費用の合計は平均47.2万円でした。まとまったお金を用意するため、必要なものと、いつまでに用意するかを併せて考えます。

住まいや道具を整えるために、介護保険による住宅改修費の支給、福祉用具の貸与・購入費の支給もあります。窓口では、家のどこで動きにくく、どの動作に手助けがほしいかを伝え、必要なものと利用できる給付を相談しましょう。

どのくらいの期間続くのか——平均4年7か月

同センターの2024年度調査では、介護期間は平均55.0か月で、4年を超えた方は約4割でした。この期間には、介護が続いている方の調査時点までの経過期間も含まれています。

月々の平均9.0万円×55か月=約495万円に、一時費用の平均47.2万円を足すと約540万円です。平均値どうしを掛け合わせた目安で、ご家庭の必要総額や介護の終わる時期を予測した数字ではありません。

利用するサービスや暮らしが変わるたびに、見積もりを見直しましょう。

見えにくいコスト——付き添いの時間と仕事

介護の備えには、お金だけでなく、付き添いの時間と仕事の調整も含まれます。平日の受診なら、休む時間を確保したり、ご家族で役割を分けたりする必要もあるでしょう。

受診日や時間帯に合わせて、誰が付き添えるかを話し合います。

通院の付き添いと交通費

通院に使う時間と交通費は、次の式で見積もれます。付き添いの時間には、往復の移動と待ち時間も含めます。

  • ・月の付き添い時間=月の通院回数×(移動時間+待ち時間+診察時間)

  • ・月の交通費=往復の運賃×月の通院回数

予定表には診察の予約時刻だけでなく、自宅を出る時刻と帰宅の見込みを書きます。移動を含めた時間を仕事の予定と照らし合わせましょう。

実際に帰宅した時刻も記録しておくと、次の受診日に仕事を空ける時間を考えやすくなります。

遠方から通う場合は、帰省の移動時間や交通費、宿泊費も加わります。交代で付き添う場合も、それぞれの往復の運賃や宿泊の有無を踏まえ、担当する日と費用の分担を相談しましょう。

仕事への影響——介護離職は年10.6万人

介護で、働き方の変更が必要になることもあります。総務省統計局「令和4年(2022年)就業構造基本調査」では、介護・看護のために過去1年間に前職を離職した方は2022年に10.6万人で、前回2017年の9.9万人から増加しました。

仕事との両立を支える制度には、育児・介護休業法に基づく介護休業・介護休暇・短時間勤務などがあります。離職を決める前に、付き添う曜日や仕事を離れる時間帯を人事担当に伝え、利用できる制度や勤務の調整を相談しましょう。

「介護で忙しくなる」だけでなく、どの予定と仕事が重なるかを具体的に伝えます。

今のうちにできること

今できる備えは、相談先を知り、親御さんとお金や健康の話をしながら、普段の生活習慣や出かける先を保つことです。ご家族の状況に合わせて、取りかかる順番を決めてみましょう。

制度と相談先を知っておく

介護や暮らしの相談先に迷ったら、地域包括支援センターへ相談できます。市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、介護・健康・福祉などを扱っています。

親御さんのお住まいを担当するセンターへ、困っていることを伝えてみましょう。

要介護・要支援認定の申請先は、市区町村の介護保険窓口もしくは地域包括支援センターです。申請に迷う段階でも、買い物の荷物を運べなくなったなど、手助けが必要な場面を地域包括支援センターに伝えて相談できます。

制度の全体像は厚生労働省の介護保険の案内に掲載されています。

親のお金と健康について、早めに話しておく

制度の記事を読んだことをきっかけに、「もし通院を手伝うことになったら、どこの病院に連絡すればいい?」と、手助けする場面を添えて話を切り出してみましょう。加入している保険、かかりつけ医、お金の管理方法を、ご本人が話せる範囲で共有しておきます。

通帳の保管場所を共有するか、支払いを手伝ってほしいかは、親御さんが決めることです。メモを残す場合も、何を書き、誰に伝えてよいかを先に相談しましょう。

元気なうちの生活習慣と「出かける先」を保つ

趣味の集まりや人と会う約束がある日は、ご家族の訪問と重ねないようにしましょう。定期的に出かけて人と顔を合わせる習慣は、社会的フレイルを予防する取り組みの一つです。

こうした地域とつながる場に、当社の健康ステーション『ハクジュプラザ』があります。同年代の方やスタッフと顔を合わせる地域のコミュニティ、家でも職場でもない第三の居場所「サードプレイス」として通っていただいています。

それぞれの地域に根付く全国450店舗の所在地は、お近くの店舗を探すページでご案内しています。

ハクジュプラザで談笑するお客様

よくあるご質問

介護の費用や備えは、ご家庭の事情と親御さんの気持ちに合わせて、相談しながら具体的にしていきましょう。

介護費用は平均でどのくらいかかりますか?

生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる費用の目安は、毎月の支出が平均9.0万円、それとは別に一時的な支出が平均47.2万円です。また、月々の平均を介護の場所別に見ると、在宅では5.3万円、施設では13.8万円となっています。

ご家族の予算を考える際の参考にしながら、実際に必要な費用は利用するサービスに合わせて確認しましょう。

親のお金のことを、どう切り出せばよいですか?

「これからの暮らしで、お金の心配はある? 必要なときに手伝えるように、少し話しておきたいんだけど」と、親御さんの気がかりを尋ねる言葉から始めてみてはいかがでしょうか。貯蓄額をいきなり聞くよりも、まずはお金について話したい理由を伝えると、切り出しやすくなります。

ご家族が一緒に考えたいという気持ちを添え、話してもよいかを尋ねてみましょう。

どこに相談すればよいですか?

介護について相談先に迷ったら、まずは地域包括支援センターへ相談できます。介護だけでなく、健康や福祉の相談も受け付けています。

要介護認定の申請については市区町村の介護保険窓口、利用するサービスが決まったあとの費用についてはケアマネジャーが相談先です。医療費については、親御さんが加入している市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療の担当窓口や勤務先の健康保険組合へ、仕事と介護の両立にお困りのときは、ご自身の勤務先の人事担当へそれぞれご相談ください。

まとめ——金額より先に、全体像を知っておく

備えの第一歩は、お金と時間の全体像を、今分かる範囲で書き出すことです。同じ紙に生活費・医療費・介護費の欄と、付き添いの日時・担当の欄を作りましょう。

空欄は、そのまま相談したいこととして残します。親御さんの希望とご家族が担える時間を添えて、公的窓口や勤務先に相談してみましょう。

参考(出典一覧)

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